ニューヨークの没入型エンタメ「スリープノーモア」体験感想! 過去の価値観をぶっ壊す、体験必至の演劇ショー

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みなさん、ニューヨークにある体験型ショー「スリープノーモア」を耳にしたことはあるでしょうか。英題は「Sleep No More」。
とにかくこれまで経験したことのない、未知の体験を経験できる、唯一無二のショーがニューヨークに存在します。

前回ニューヨークに行ったのが、3年前の2019年でした。友人からヤバイショーがあるらしいと聞いていたので、3年前にもこの「スリープノーモア」を体験して、演劇に関する価値観が破壊され、衝撃の3時間に打ちのめされました。
観劇後、ショックでしばらく友人と話すことができなかったほどです。

次にニューヨークに行く時は、絶対にもう一度観る!と誓って今回3年ぶりのニューヨークを計画し、2回目のスリープノーモアを観てきました。
本当にオススメなので一人でも多くの人に知って欲しいと思い、記事にしています!特にエンタメ好き、役者志望、脚本監督志望の人は絶対に観た方が良いです。

では、さっそくスリープノーモアの感想と予習作品、鑑賞方法についても書いていこうと思います!

(1)圧倒的衝撃のショー体験

このスリープノーモアという演劇、何がそんなに衝撃なのかというと、5つのフロアからなる建物に観客が入り、自由に動き回って、役者の演技をゼロ距離で楽しむことができる点です。5つのフロアの中にも、かなりの数の大部屋や小部屋がいくつも用意されていて、全ての部屋の内装はショーのために趣向を凝らして作られており、観客はその中を上下フロアの行き来を含めてひたすら、ひたすら歩き続きます。

ブロードウェイのように観客が座席に座って、一方向を見て鑑賞するのでなく、観客全員も役者と一体となって、歩いて、走って、時には止まって、役者を追いかけながら鑑劇できるという手法が画期的なのです。日本には建物をまるっと全て貸切って、こんなにもド派手で、自由に観れる演劇は存在しないはずです!

もう一点、このスリープノーモアの特殊なところは最初に手渡される仮面を常にかぶって演劇を楽しむところです。面白いことに、仮面を被った瞬間、白人も黒人も、黄色人種も全ての人種を分からなくさせます。人種による「平等」が重要なニューヨークらしい、素晴らしい演出です。
見た目が全て「平等」になった人間は、いつもとは違った人間性がでてくるでしょう。普段よりも、もっと大胆になれます。

演劇は10人ほどのメインキャストがおり、建物内の部屋のどこかで同時多発的に演劇が進められていきます。最初はエレベーターで適当なフロアに降ろされるので、どこに主人公がいるのか、どの役者がマクベスなのか、今いる部屋はどこで何階なのか、何も分からずスタートします。

さらに、英語ができない人にとってありがたいのは、言葉を発さない演劇なので終始役者の演技と音楽だけで楽しむことになります。セリフがない分、余計に何が起こっているのか脳が必死に思考をフル回転させます。

3時間の公演中、同じ演劇が1時間ごとに3回繰り返されるということだけは、頭に入れておくとグッと観やすくなります。3年前に観たときは演劇が2回繰り返されたところで、ようやくその構成に気づきました(笑)

ただし、建物内のいたるところで同時多発的に演劇が行われるので、3時間しっかり観たとしても、全ての役者の演技を追うことは不可能です。

どの役者を追うか、どのフロア、どの部屋で待ち構えるか、鑑賞時の取捨選択が観客の五感を刺激される最大のポイントであり、スリープノーモアの面白さの本質なのだと思います。

ショーの中心となるマクベスと妻のシーン

誰についてどの演劇を見れば、この特異なショーを理解できるのか。一瞬一瞬で判断を下さなければなりません。なので、体だけでなく、頭も使うので、観劇後は相当な達成感と同時に、疲労感もあります。

1時間(1周)の演劇の中でもクライマックスが2回用意されており、全キャストが揃う大迫力のシーンが2回あります。そこは本当に見逃せないシーンとなるので、キャストの誰かについて必ず観るようにしましょう。
その2回のクライマックスで観客も全員集合することになるので、友人と観に来ている場合にはそのタイミングで集合することが可能です。

1周のラストには大広間で全キャスト・全観客揃う圧倒的迫力のシーンが展開されます。このシーンは何度観ても鳥肌が止まりません!
3周目のラストシーンはそれまでと違う演出が用意されているので、見逃し厳禁です。

ちなみに、結構ここが凄いポイントというか、アメリカのショービジネスの凄みを感じさせるのですが、役者のみなさんたちが全裸になるシーンがいくつか出てきます。
そして観客は観たい位置からその全裸を観ることができるので、それもまた、日本ではあり得ない非日常的な体験ができることでしょう。
ゼロ距離で役者の全裸を思う存分堪能してみてください!(笑)

(2)事前の予習作品

スリープノーモアはシェイクスピアの「マクベス」とヒッチコックの「レベッカ」を元にストーリーを作っていると言われています。事前予習をしなくても楽しめる作品だと思いますが、より深く理解しようとするなら予習は欠かせないかもしれません。

1回目に観たときは何も予習せずに行ったので、何が何だか分からず「何も理解できないが、とにかく凄いものを観ている!!」と興奮したのを覚えています。

僕がスリープノーモアを観る前に事前に予習したのは以下の作品です。

・「マクベス」ジャスティン・カーゼル監督 2015年
・「マクベス」ジョエル・コーエン監督 2021年
・「レベッカ」アルフレッド・ヒッチコック監督 1940年

しかし、スリープノーモアにおいて、「マクベス」と思われるキャラクターを追うと物語が多少分かりやすいのですが、「レベッカ」のようなシーンや、オリジナルのシーンもあるので、あまり予習しまくっても意味がないかもしれません笑

とにかく、この演劇は自分の直感を信じて感じたままに、行動するのが正しい見方のような気がします。

また、マクベスという物語のストーリーをより理解するために、中田敦彦のYoutube大学で解説動画が出ている「マクベス解説編」も視聴しました。マクベスという物語は理解すると結構簡単な物語なのですが、耳慣れない横文字のキャラクターばかりが出てくるので、正直どのあらすじサイトのあらすじより、中田敦彦の解説動画が一番分かりやすかったです。
映画や小説を観る時間がなければ、中田敦彦の動画だけでも見ておけば、十分だと思います。

(3)鑑賞方法・金額

予約はこちらの公式サイトからできます。現地購入はないので、必ず事前にチケットを購入する必要があります。

公演チケットのみなら手数料込みで148ドル。会場内にあるバーの席を予約する場合はさらに追加料金を支払う必要があります。
19時から15分おきに予約枠がありますが、初めての人は19時で予約するのが良いです。リピート客が多い演劇なので、途中入場する人のために、15分おきに予約枠が設置されている感じです。19時予約でも20時予約でも料金は一緒です。

スリープノーモアの会場はチェルシーにあるこちら。

基本的には夜の公演になると思うので、午後にチェルシーマーケットやハイラインを観光すると効率が良いです。

注意点は、今回19時の予約で5分くらい前に会場に到着したのですが、すでに行列ができており、チェックインまでに時間がかかってしまいました。なので入場する頃には開始から20分ほど経ってしまい最初から観ることができませんでした。これが本当に悔しい・・・!
30分前には会場に着いておくと安心なのではないでしょうか。

会場前。扉も独特で面白い

会場前に着くと、パスポートとワクチン接種証明書の提示を求められました。そして今回行った2022年では一人ずつ厚めの不織布マスクが手渡され自前のマスクではなく、会場が用意したマスクに交換するように指示されます。

会場内に入ると、まずは荷物を預けます。荷物はスマホを含めて全てクロークに預けるようにと指示があるので、4ドル支払って荷物を預けます。この荷物預けはマストです。

さらに進むと1人ずつにトランプが配られます。トランプを受け取って階段を上がっていくと、怪しげな雰囲気のジャズバーのようなスペースが広がり、少し待っていると、トランプの数字をスタッフが読み上げます。その番号を持つ人のみがショーの会場へ案内されるのです。友人と行っていても渡されるトランプの数字が違うので、最初からバラけることになります。
その時点で、もうこれから何が起こるんだ!?と心拍数上がりまくりです。

2019年時のフロントでありジャズバー。観客はまずこのスペースに集められる。現在は撮影禁止。

同じ数字の観客が10名程度集められると次は仮面を渡され、仮面をつけて私語は禁止だという説明を受けました。
説明を受けた後、エレベーターに乗り、実際の演劇が行われるフロアに向かう際、エレベーターの出口に最も近い人は気を付けてください。最初に一人だけ降りるよう、指示があります。
一人だけ最初に降ろして、暗闇の会場の中を歩かされるので、実際に一人で降ろされた人は相当な恐怖だったようです(笑)

当日は、3時間ぶっ通しで歩き回るので、ヒールや革靴ではなく、歩きやすい靴と服装で行くのが良いと思います。
疲れ切ってしまった場合は、ロビーで休憩もできるのでご安心ください。

会場でもらった仮面とトランプ

(4)鑑賞後はルーフトップバーで感想を語りあいながら乾杯

スリープノーモアの鑑賞終了時刻は22時と少し遅いので、そのまま帰路についても良いですが、演劇の内容を語りたいなと感じたらスリープノーモアの会場の隣にある「Gallow Green」というバーに行くと良いと思います。
予約せずでもすんなり入れました。

しかもお酒を飲みつつゆっくりしていると、さっきまで演じていた役者陣も打ち上げっぽい感じで来店していたので、演劇後の役者に会うチャンスもあるかもしれません!

Gallow Green内の写真

まとめ

3年前と今回、2回観た結果、物語の内容はやっぱりよく理解できませんでした(笑)

この演劇を理解するにはもっともっと回数を重ねないとダメなんだと思います。だからこそ何度も通うリピーターが多いのも事実。

マクベス辺りのストーリーは理解できたのですが、それ以外の端役のキャラクターが何をしているのか、演技にどんな意味を持つのか、「マクベス」、「レベッカ」にはないオリジナルのシーンもたくさんあるので、観客自体がそれぞれ解釈を行い、ピュアに楽しめば良いのだと思っています。

そして恐らく、スリープノーモアを企画した天才クリエーターは、物語の内容やテーマに正解をあえて持たせていないのではないかとも思います。
物語は理解出来なくても、数年後も脳から記憶が離れない、衝撃的な体験ができます。
ニューヨークに行ったら絶対観るべきオススメのショーです!

次にニューヨークに行ったら絶対3回目観るぞー!

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